ロールスロイスを夢見る営業マンと、転売で稼ぐ人たち

ロールスロイスを夢見る営業マンと、転売で稼ぐ人たち
ショールーム前の野望
とある不動産営業マンと、ロールスロイスのショールーム前で立ち話をしていた。
彼は展示されているファントムを見つめていた。
私は彼に聞いた。 「車、好きなの?」
彼は答えた。
「いや、いつかこいつを買ってやろうと思って、毎日頑張ってます」
まだ若い、どこにでもいそうなサラリーマンだった。
そんなに儲かるの?
当時、IT業界から不動産業界に転職したばかりの私は、素朴な疑問を抱いた。 まだ若いサラリーマンが、ロールスロイス・ファントムを本気で狙えるほど、不動産営業は稼げるのだろうか。
不動産投資の王道と例外
本来、不動産投資の基本は家賃収入による利回りだ。 キャピタルゲイン(売却益)はあくまでオプション。 これが投資の王道とされている。
転売で2000万円稼いだ男
以前、ある不動産関係者から興味深い話を聞いたことがある。
とあるマンションデベロッパーの営業マンが、自社物件を購入していたという。 銀行の融資担当者と懇意だったらしく、融資もスムーズに通っていたそうだ。 しかし実際には、引渡し前にすべて転売していたため、住宅ローンを使うことはなかったという。
マンション1部屋で700万円の上乗せ。 それを3つ買っていたので、約2000万円の利益が出たらしい。
「でも実際には、1割が経費、残りの半分は税金で持っていかれて、手元には900万円くらいしか残らなかったそうですよ」
税金を払う覚悟
その話を聞かせてくれた人物は、こう続けた。
「彼は『確かに税金は持っていかれる。でも、それでも900万円は残る。大したこともせずにこれだけ稼げる方法が、他にありますか?』と言っていたそうです」
この割り切りが印象的だった。
売るに売れない1億円
同じ頃、六本木で別の話を聞いた。
ホリエモンに勧められてイーサリアムを20万円分買ったキャバ嬢がいた。 それが後に1億円になったが、売るに売れずに塩漬けになっているという。
「売れば半額を税金で持っていかれるから、売れない」
割り切ることで900万円を手にした営業マンと、割り切れずに絵に描いた餅のまま抱えている彼女。 この対比が、投資のプロとアマチュアの違いなのだと実感させられた。
現代の超高級マンション転売事情
そして現在。 港区の超高級マンションは異常な人気だ。
数億円の物件に数十倍の抽選倍率。 当選者は引き渡し後、なんと3倍の価格で転売。 それでも買い手がつくという。
本来なら賃料収入で回収すべき投資が、転売益狙いの投機になっている。 まさに異常事態だ。
そんな話を知れば、誰もが欲しくなるのは当然だろう。 そうしてさらに抽選倍率は鰻登り。
いまや超高級マンションこそ、転売ヤーの巣窟なのだ!(知らんけど)
言えない真実
恐ろしいことに、その抽選すら…いや、とてもブログには書けない。 私の胸の内にしまっておこう。
生き馬の目を抜く世界
不動産を打ち出の小槌として稼ぐ人たち。
税金で半分持っていかれても「御の字」と言い切る転売屋。 一方で、税金が怖くて1億円を塩漬けにするアマチュア。 そして今も続く、常軌を逸した転売市場。
まさに生き馬の目を抜くような世界なのだと、実感させられる。
冷徹な計算と、時に倫理の境界線を歩く覚悟。 それが今の不動産業界の現実なのかもしれない。