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業界解説

港区宅建業者の多様性 - 不動産屋が一社もいない業界団体の集まり

港区宅建業者の多様性 - 不動産屋が一社もいない業界団体の集まりのイメージ

よくある質問 (FAQ)

港区にはどれくらいの宅建業者がいるのですか?

全国に約13万社ある宅建業者のうち、港区には数千社が集中しています。全日本不動産協会東京都本部の加盟社は13,000社、東京都宅地建物取引業協会の会員数は都内約1万5500名(都内不動産業者の約60%)となっています。

なぜ港区の宅建業者の集まりに「普通の不動産屋」がいなかったのですか?

港区の宅建業者の特徴は、他業種からの参入者が多く、それも実に多岐にわたるためです。インバウンド専門、M&A主体、地上げ専門など、それぞれが独自の専門性を持って参入しており、いわゆる一般的な不動産仲介業者がいませんでした。

港区で扱われる物件の価格帯はどのくらいですか?

港区の平均取引額は1.7億円で、これには1億円以下の物件も含まれています。業界団体の集まりでは「10億円以上の物件しか扱わない」という業者もおり、5億円以上の物件は「ざら」で、わざわざ「超高級」と言うまでもない状況です。

インバウンド専門業者にはどのような種類がありますか?

中国人業者だけでなく、台湾資本の日本人代理人もいます。さらに大使館とのビジネスをしている業者もおり、それぞれがさらに細分化された市場で独自のポジションを築いています。

M&A業者が不動産業免許を持つ理由は何ですか?

一般的な事業承継に関するM&Aでは、資産に不動産を含む場合が多いためです。宅建業免許を持っていれば、資産処分や購入なども手がけられるため、ビジネスの幅が広がります。

金融業界から不動産業界への転身が多い理由は何ですか?

金融業界と不動産業界は共通点が多く、不動産の現物資産としての特性から、ローン、融資、担保など、お金に関する知識が必要であり、契約書作成や事務処理能力が求められる点でも共通しています。また、港区の高額物件を扱うには、富裕層の資産運用、相続対策、節税スキームなど、金融知識が不可欠だからです。

港区以外でも同様の高額物件市場はありますか?

港区に限らず渋谷区、中央区、千代田区、目黒区なども同様のマーケットです。不思議なことに、中国人投資家で有名になったオリンピック村などの豊洲等の物件は、港区の業界団体では一切話題になりませんでした。

システム開発会社が不動産業を営む理由は何ですか?

港区の宅建業者の共通点は「専門性」です。誰もが何かのスペシャリストで、その専門性を活かして不動産業に参入しています。システム開発の知識は、不動産DXや業務効率化の提案に直結し、データ分析能力は市場動向の把握や投資判断に活かせるためです。

先日、港区の宅建業者の集まりに参加してきた。

参加者は少なかったが、その顔ぶれを聞いて衝撃を受けた。 いわゆる「不動産屋」が一社もいなかったのだ。

港区宅建業界の特殊性

全国に約13万社ある宅建業者。 その中で港区には数千社が集中している。

私が加入している全日本不動産協会東京都本部の加盟社は13,000社。 東京都宅地建物取引業協会の会員数は都内約1万5500名(都内不動産業者の約60%)。 これらの数字から、港区への集中度は相当なものだと分かる。

しかし、今回の集まりで見えてきたのは、その「質」の特殊性だった。

港区の宅建業者の特徴は、他業種からの参入者が多く、それも実に多岐にわたるということ。 そういう私もシステム開発がメインで、不動産は副業だ。

業界団体の集まりで出会った多彩な顔ぶれ

インバウンド専門業者の独自ポジション

中国人業者だけでなく、台湾資本の日本人代理人もいた。 さらに大使館とのビジネスをしている業者もいるという。

インバウンド専門というだけでも特殊だが、それぞれがさらに細分化された市場で独自のポジションを築いている。

高級物件買取専門(10億円以上限定)の戦略

「10億円以上の物件しか扱わない」

大使館ビジネスをしている業者の言葉だ。 どこの国かは聞き取れなかったが、インバウンド案件であることは間違いない。

10億円以下は相手にしない。 この割り切りが、港区ならではだと感じた。

M&Aがメインで不動産は副業という逆転現象

「事業承継が絡むんですよ」

M&A仲介をメインにしている業者の説明だった。

一般的な事業承継に関するM&Aでは、資産に不動産を含む場合が多い。 宅建業免許を持っていれば、資産処分や購入なども手がけられるため、ビジネスの幅が広がるのだろう。

M&Aと不動産の関連について私は詳しくないので、今後の付き合いで教えてもらおうと思っている。

店舗開発から派生した不動産事業

店舗開発から住宅(宅建)に転身した業者もいた。

商業施設の立地選定や賃貸借契約のノウハウは、住宅にも応用が利く。 特に投資用不動産では、収益性の見極めが重要となるため、店舗開発の経験が活きるのだろう。

地上げ専門という特殊な存在

2社も地上げ専門業者がいた。

地上げというと怖もての印象があるが、今はスマートだ。 「地主さんも納得の条件を買主から引き出して、円満に完了した」 という話を聞いて、時代の変化を感じた。

さらに東京の一等地を地上げした利益で、地方の大規模地上げを進めているそうだ。 私もやってみたい(笑)

金融業からの転身組が多い理由

金融業界と不動産業界は共通点が多く、不動産の現物資産としての特性から、ローン、融資、担保など、お金に関する知識が必要であり、契約書作成や事務処理能力が求められる点でも共通している。また、金融業界で取得する「宅地建物取引士」の資格は、不動産担保の取得や不動産の鑑定、融資判断の際に役立つとして重宝されている。

港区の高額物件を扱うには、金融知識が不可欠。 富裕層の資産運用、相続対策、節税スキームなど、不動産と金融は切っても切れない関係にある。

「5億円以上」が当たり前の世界

港区では「超高級」と言うまでもない現実

私は「5億円以上の物件の売買仲介専門」と謳っているのだが、港区ではそんな物件はざら。 わざわざ「超高級」と言うまでもなかったのだ。

ある業者から聞いた話では、港区の平均取引額は1.7億円。 これには1億円以下の物件も含まれているから、高額物件に限定すれば平均はもっと上がる。

また、港区に限らず渋谷区、中央区、千代田区、目黒区なども同様のマーケット。 不思議なことに、中国人投資家で有名になったオリンピック村などの豊洲等の物件は、この集まりでは一切話題にならなかった。

価格感覚のアップデートの必要性

「うーん、庶民感覚ではついていけない」

正直な感想だ。 しかし、ここでアップデートしていかなければ、港区では生き残れない。

庶民感覚との乖離と向き合い方

面白がればいいんだ、と私は思っている。

ゾウさんパクパクを見て、食事量の感覚がバグるのと同じだ。 ジンベエザメの一日の食事量が6kgと聞いた時、ゾウさんパクパクのほうが食べるな、と思った。

先日、名刺交換した人が「スイスのプライベートバンクに口座を持っている」と言った。 一般的には「すごい!」となるのだろうが、私は「へー」くらいだった。 ファミリーオフィスじゃないんだ、くらいにしか思わなかった。

私は思いっきり庶民だが、この乖離が面白い。

そして手が届くかどうかは分からないが、身近に超富裕層の世界があれば、還暦まじかの私でも、頑張ってみようと思う。

今の若い人たちはバブル時代も知らないし、金持ちを見たことが無いだろう。 だから一部には、ミニマリストとか断捨離とか、何か悟りのような世界に向かってしまい、清濁併せ持つ金持ちよりも、清く正しく美しく貧乏を良しとして、金持ちの外国人を妬み、日本人ファーストみたいな思考が出るのかなあ。 SNSの一部の界隈を見ていると、そう思わずにいられない。

幕末の尊王攘夷じゃあるまいし、と私は思ってしまう。

もっとも、偉そうなことを言っている私も、若い頃は貧乏で「燃えろいい女」を「燃えろ、いいお家~燃えろ、金持ち~」とかカラオケで替え歌にして歌っていたのだが(笑)

まとめ

港区の宅建業者の集まりで見た光景は、まさに「多様性の極致」だった。

それぞれが独自の専門性を持ち、独自の市場で勝負している。 集まりに「普通の不動産屋」が一社もいないという事実が、港区の特殊性を物語っている。

この環境で生き残るには、自分だけの強みを磨き続けるしかない。 そして、その強みを不動産業とどう結びつけるか。 それが問われている。

次回は、地上げ専門業者との詳しい話から見えてきた、港区不動産業界のさらに深い世界についてお話ししよう。s