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FX放浪記trade 22💲ナンピンとEA:FX取引の甘い罠と苦い現実

ナンピンとEAの切っても切れない関係
ナンピンっていうのは、損失を抱えているポジションに対して、同じ方向に追加注文を入れることで、平均取得価格を有利にしようとする手法である。 ナンピンと言う単語を初めて目にした人はtrade 9💲歯車の中で輝く一筋の光を読んで欲しい。
ナンピンはうまくいけば、少しの価格変動で損失を取り戻せるし、大きな利益を得ることもできる。 でも、裏を返せば、相場が思惑通りに動かなければ、損失がどんどん拡大していくリスクもある。
そこで出てくるのが、EA(エキスパートアドバイザー)。 ナンピンを自動化することで、感情に左右されずに淡々と注文を入れていくことができる。 事前にルールを決めておけば、相場が動くたびに、機械的に追加ポジションを取っていくことができるのだ。
お祈りトレードの落とし穴
でも、問題はその先にある。 ナンピンを繰り返していけば、いつかは相場が反転するだろうと期待して、ただひたすらポジションを増やし続ける。 これが「お祈りトレード」というやつだ。 確かに、相場が望んだ方向に動けば、一気に大きな利益を得ることができるだろう。 しかし、もし相場が反転しなければ、損失は雪だるま式に膨れ上がっていく。
行きつく先は、破綻か、大儲けか? これはもはやギャンブルだ。だから「お祈りトレード」なのだ。 無神論者の私でも、神様仏様勇者様聖女様魔王様、誰でもいいから相場を反転させてくれ!と祈りながら、 明日の朝にはきっといいことがあるさ、と結果を見届けずに布団に潜り込んで現実逃避、 いや、果報は寝て待て、いやいやいや寝耳に水、もうどうでもいい。
そんな気持ちになったことがある方、手を挙げてみてください。ですよねー(笑)
ナンピンの危険性:シミュレーションで見る現実
実際にナンピンがどれくらいのものか、シミュレーションしてみよう。
条件設定
- 証拠金: 10,000 USD
- 通貨ペア: EUR/USD
- 初期取引量: 0.01 lots
- ナンピン実行: 20 pips おき
- ナンピン倍率: 1.5 倍
- 取引量計算: 0.01 以下は切り上げ
- レバレッジ: 1000 倍
計算式
専門的になりすぎないように簡略化しています。
- 初期取引量からスタートし、次の取引ごとに倍率1.5を適用し、0.01以下は切り上げ。
- 必要証拠金合計 = 取引量累計 * 100,000 / レバレッジ
- 含み損合計 = 取引量累計 _ pips差 _ 10 (USD)
- 証拠金維持率 = (証拠金 - 含み損合計) / 必要証拠金合計 * 100%
シミュレーション結果
170pipsほど下がったあたりでロスカットされていると思われる。いずれにしろ、8段までしかナンピンできない。
これを国内業者に合わせて25倍で計算してみても、結果は変わらず、8段までしかいけなかった。
つまり、相場が170pips以上動いたら詰む、ということだ。「170pipsも下がったら、そろそろ反転するはず!」なんて希望的観測は捨てたほうがいい。トレンド相場の勢いは、簡単には止まらないのだ。
実例:EAの光と影
ここで、とあるEAの取引事例を紹介しよう。2022年6月9日に決済されたこの取引、10回のナンピンにより得た利益は8,664.21CHF(当時のレートで約130万円)だ。だがしかし、このEAが最大に負けこんだ時は、なんと含み損失が332万円まで拡大していた。
このEAの作者によれば「10,000USDで設定倍率1.0倍です。」だそうだ。でも、実際には1万ドルでは証拠金が不足してロスカットされてしまう。ネット上の掲示板には、こんな投稿があった。
「本年6月9日に設定倍率1.0倍で約300万円超の瞬間含み損が発生しました。」
「ちなみに私は、証拠金3万ドルです。」
記録は取っていないが、このEAは2023年に11回目のナンピンを行っている。最大含み損はおそらく500万円を超えただろう。証拠金1万ドルで運用して、破綻した人が相当数いたと予想される。
こう聞くと、「EAなんて危険すぎる!」って思うかもしれない。EAが危険なんじゃない、ナンピンが危険なのだ!まあ、EAがナンピンをアルゴリズムに組み込んでるから、結局は同じことなのだが。
EAを使っても逃れられない現実
以上の検証により、ナンピンはボラティリティーが150pips以内に収まっていれば有効に機能するが、トレンド相場で170pips以上の変動が起きると破綻する。 そのため、150pipsあたりでEAを停めて、手動で損切する決断を迫られる。 つまり、EAを使っても心理的負担がなくなるわけではない。 半自動とはいえ、心理的に一番きついところは、己の手で始末をつける必要がある。
これがデジタルだろうか? こんなDXがあるだろうか?
少なくとも「MQL4プログラミングで大儲け!」みたいな釣りに騙されて、MT4のプログラム講座に金を払ったり、MT4用のEAを買ったりするのはやめたほうがいい。
じゃあ、今から裁量取引覚えますか?修行しますか?勉強しますか?それとも、FXから足を洗いますか?
冗談じゃない!こちとら、残りの人生短いんじゃ!しかも老後資金も必要じゃ!
全自動かつ放置プレイ可能なEAがないなら、作ればいいのだ!!!