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経営

経営者と社員の視点の乖離 - 給与満足度調査が示す現実

経営者と社員の視点の乖離 - 給与満足度調査が示す現実のイメージ

よくある質問 (FAQ)

現在の年収に満足している人の割合はどの程度ですか?

リクルートマネジメントソリューションズの「働く人の本音調査2024」によると、50代でさえも現在の年収に満足している人はわずか29.2%です。全体でも満足している人は27.2%に留まり、満足していない人は45.2%にも上ります。

人事評価と給与の関係について社員はどう考えていますか?

75.0%もの人が「人事評価は、機会よりも給料に反映してほしい」と希望していますが、実際に人事評価が給料に反映されていると感じている人は51.3%に留まるというギャップがあります。

経営者と社員の視点にはどのような違いがありますか?

3つの大きな違いがあります:1) 時間軸の違い(社長は将来を見つめ、社員は今を見る)、2) 優先順位の違い(経営者は会社の持続性、社員は自分の生活や処遇)、3) リスクの捉え方(経営者にとって内部留保は安全保障、社員にとっては「そんな金があるなら給料を上げろ」)

右腕人材を求める経営者の実態はどうなっていますか?

調査によると、4割以上の中小企業経営者が「経営の相談ができる人がいない」と回答し、半数近くが「経営の悩みを相談したい」と感じています。また、経営者・自営業者全体の33%が「相談相手はいない」と回答し、約半数が「右腕的存在が欲しい」と答えています。

なぜ経営者は右腕人材を見つけられないのですか?

筆者の長年の経験から導き出された結論は、「自分の右腕になるような人材は、すでに独立していて、その人もまた、右腕を探している」ということです。また、社員は自分自身のキャリアや生活を優先するため、経営者が「もう一人の自分」を求めることとのギャップが生じています。

先日、あるコンサルタントの記事を読み、違和感を覚えました。 その記事では「財務的に余裕があり、どうしても会社に置いておきたい人材なら社員として雇用する。 財務的に余裕がないのであれば、業務委託にする」という趣旨が書かれていました。 経営者の立場からすれば理にかなったアドバイスかもしれませんが、そこには「社員目線」が欠けていると感じたのです。

驚きの調査結果

この違和感は、最近のデータによって裏付けられました。 リクルートマネジメントソリューションズが実施した「働く人の本音調査2024」によると、 50代でさえも現在の年収に満足している人はわずか29.2% だったのです。 全体でも満足している人は27.2%に留まり、満足していない人は45.2%にも上ります[1]。

さらに興味深いことに、75.0%もの人が「人事評価は、機会よりも給料に反映してほしい」と希望しているにもかかわらず、実際に人事評価が給料に反映されていると感じている人は51.3%に留まるという結果も示されています[1]。

[1] 出典:DIME「50代で現在の年収に満足している人はどれくらいいるのか?」

経営者と社員の視点の違い

私はかつて「学生→独立→経営者→会社員」という珍しいキャリアパスを歩んできました。 経営者を経験した後に社員になったことで、双方の視点から物事を見ることができています。

経営者と社員の間には、常に大きな視点の違いがあります:

  1. 時間軸の違い:社長は将来を見つめ、社員は今を見る
  2. 優先順位の違い:経営者は会社の持続性、社員は自分の生活や処遇
  3. リスクの捉え方:経営者にとって内部留保は安全保障、社員にとっては「そんな金があるなら給料を上げろ」

「右腕となる社員」という幻想

「右腕となる社員が欲しい」というのは多くの経営者の願望ですが、これは時に経営者のエゴに過ぎません。 社員側からすれば、「右腕に祭り上げられる」ことを望まない人も多いのです。

実は、この「右腕がいない」という悩みは経営者の間で非常に一般的です。 複数の調査によれば:

  • 「右腕人材(No.2)がいない中小企業の経営者」の調査では、4割以上が「経営の相談ができる人がいない」と回答し、半数近くが「経営の悩みを相談したい」と感じています
  • 経営者・自営業者全体の33%が「相談相手はいない」と回答し、約半数が「右腕的存在(何でも相談できる外部パートナー)が欲しい」と答えています

このように、「右腕がほしい」経営者はたくさんいますが、実際には見つからないというジレンマがあります。 私自身も若い頃に同じ経験をしました。 長年の経験からたどり着いた結論は、「自分の右腕になるような人材は、すでに独立していて、その人もまた、右腕を探している」ということです。

一時的な付き合いなら構わないけれど、永続的な関係を望まない人にとって、「社員になってくれ」という申し出は重荷になることもあります。 業務委託の方が気が楽だと感じる人も少なくありません。

中小企業経営者へのメッセージ

多様性の時代において、「あなたの右腕はいない」ということを認識すべきではないでしょうか。 調査結果が示すように、社員の75%が「評価を給与に反映してほしい」と望み、70%以上が給与に満足していない現状では、単に「会社に残ってほしい」という期待だけでは人材は定着しません。

このギャップは、両者の視点の違いから生まれます。 経営者が「もう一人の自分」を求めるのに対し、社員は自分自身のキャリアや生活を優先します。 この食い違いが、経営者の「右腕がいない」という永遠の悩みにつながっているのです。

社員目線や取引先目線を持つことが、結果的に人材確保につながります。 「のど元過ぎれば熱さ忘れる」ように、経営者は自らが社員時代に味わった理不尽を忘れがちです。 しかし、相手も人間です。 常に「いつまでもこんな会社にいるものか」「こんな相手と取引を続けるものか」と考えています。

終わりに

人の気持ちは常にうつろいます。 「この会社で働きたい」「この社長と一緒に仕事をしたい」という気持ちは、恋愛と同じく変化するものです。 絶対的なものではありません。

多様な働き方が認められる現在、社員か業務委託かという選択は、単に会社の財務状況だけでなく、働く側の意向も重要です。 社長の一方的な願望よりも、双方にとって持続可能な関係を築くことが、真の意味での「人的資本経営」ではないでしょうか。