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オフショア開発の限界とAI拡張型開発の可能性

オフショア開発の限界とAI拡張型開発の可能性のイメージ

よくある質問 (FAQ)

オフショア開発でよくある問題は何ですか?

基本的な4つの問題として「日本語がわからない」「エンジニアリングを知らない」「仕事が雑」「動けばよいという指向が強い」があります。具体的には、システムの本質や目的を理解せずに開発(CRMなのに顧客情報が更新できないなど)、ログの重要性を認識しない(システム運用に必要なログは実装しない)、保守性・拡張性を無視した設計、セキュリティに無頓着などが挙げられます。

オフショア開発のコストは実際どの程度ですか?

2024年のベトナムでの実際の人月単価は、プログラマー39.4万円、シニアエンジニア48.3万円、ブリッジSE59万円、PM70万円です。100人月なら3,700万円ですが、手戻りによる追加コストが加わるのが実態です。

国内フリーランスの問題点は何ですか?

設計能力の欠如(設計書が書けない)、エンジニアリング理解不足(上流工程の経験不足)、「動けばいい」という意識によるドキュメント整備の軽視などがあります。多くのフリーランスは独学でチーム開発経験が乏しく、月額100万円が上限という現実があります。

AI拡張型開発とは何ですか?

設計書をAIとみっちりペア開発する手法です。人間では難しい細かい整合性もAIが担い、詳細な設計書を作成するとAIが実装から単体テスト、E2Eテスト、CI/CDまで一気に構築します。ただし設計書はmarkdown形式であることが必須です。

なぜAI拡張型開発は「人を選ぶ」のですか?

「70%問題」として知られる課題があります。経験豊富な開発者がAIツールを使うと魔法のように見えますが、実際は生成されたコードを常にリファクタリングし、より小さく焦点を絞ったモジュールに整形しています。長年培ったエンジニアリングの知恵がAIの出力を制約し、コードを保守可能にしているのです。

Claude Codeの特性はどのようなものですか?

Claude Codeは「優秀な新人社員」のような挙動を示します。知識は豊富で仕事は無茶苦茶速いですが、近視眼的な傾向が強くよく暴走します。10分くらいAIが試行錯誤して解決できない問題を、1行指摘するだけで直ることが何度もあります。

AI拡張型開発に必要な要素は何ですか?

深いエンジニアリング知識、システム全体を俯瞰する能力、品質基準を持っている経験、ビジネス要件を理解する能力が必要です。特にシステム開発会社経営、大企業からの受注とマネジメント経験、国際チーム運営経験、コンサルティング能力との親和性が高いです。

AI拡張型開発の競争優位性はどこにありますか?

現在、多くの人がこの手法を理解していないため、AI拡張型開発を実践できるエンジニアは大きな競争優位性を持ちます。しかし単にAIツールを使えばよいというものではなく、深いエンジニアリング経験と数多くのマネジメント成功体験を持つ者だけが、AIの能力を最大限に引き出せます。

この記事の著者の経験的根拠は何ですか?

40年間のシステム開発経験、富士通・ソニー・NECなど大手企業との開発実績、経産省・文科省のプロジェクトリーダー経験、大手受験塾の基幹システム10年運用実績、最近のオフショア開発後始末案件の対応経験などに基づいています。現在もClaude、ChatGPT等を活用したAI拡張型開発で100人月相当を3ヶ月で実現する実績があります。

ソフトウェア開発の現場では、コスト削減の切り札としてオフショア開発が広く採用されてきました。しかし、実際にオフショア開発を経験した多くのエンジニアが、その限界を感じているのではないでしょうか。

オフショア開発の現実:調査結果と実体験

調査で明らかになった課題

オフショア開発における主な課題として、コミュニケーションギャップ、品質管理、プロジェクト管理が挙げられています。最近では、コスト削減を重要視した現地企業に発注するケースがあり、多くの遅延やプロジェクトの炎上につながってしまっているという報告もあります。

オフショア開発で失敗する原因は主に「言葉・文化の壁」「開発メンバーのスキル不足」「オフショア開発先の選定ミス」の3つとされています。

実際に経験した問題点

最近もオフショア開発の後始末を依頼されました。その際に直面した問題:

基本的な4つの問題

  1. 日本語がわからない(仕様の理解やコミュニケーション)
  2. エンジニアリングを知らない
  3. 仕事が雑
  4. 「動けばよい」という指向が強い(保守性・拡張性を無視)

具体的な事例

設計・アーキテクチャの問題

  • 実装が適当(拡張性が無い)
  • 「動けばよい」で設計を無視(将来的な保守性を考慮しない)
  • システムの本質や目的を理解せずに開発(CRMなのに顧客情報が更新できないなど)
  • 同じ機能の関数をいくつも作成する(DRY原則の無視)

運用・保守の軽視

  • ログの重要性を認識しない(開発用ログは重視するが、システム運用に必要なログは実装しない)
  • セキュリティに無頓着(本番環境に開発環境をデプロイ)
  • メモリ管理や同期・非同期の管理ができていない

基本的なエンジニアリング能力不足

  • 難しい実装はするのに、基本的なエンジニアリングの知識が無い(学生の実習作品レベル)
  • バグの原因の推測が非論理的(経験のなさが暴露)
  • 明らかにAIを活用していない

コミュニケーション・理解の問題

  • 仕様書の理解が適当(質問せずに勝手に推測して実装し、手戻りが発生)
  • 明らかな間違いを指摘しても、そんなことは無いと嘘をつく
  • 日本文化の無理解による実装ミス(都道府県の並び順など)
  • 日本であまり使われていないフレームワーク(ant.dなど)を平気で使う

重要な洞察:AIとオフショア開発の共通問題

興味深いことに、「質問せずに勝手に推測して実装する」という問題は、AIも同様に抱えています。AIも不明な仕様があると、質問機能を適切に使わずに自分で推測して実装を進めがちです。この共通点は、後述する「なぜAI拡張型開発は人を選ぶのか」という核心的な問題と直結しています。

つまり、オフショア開発もAI活用も、適切な指導と制約がなければ同じような手戻りが発生するのです。経験豊富なエンジニアがAIを適切に指導する必要性は、まさにこのオフショア開発の失敗例から学ぶべき重要な教訓なのです。

オフショア開発のコスト構造

2024年のオフショア開発(ベトナム)の実際の人月単価:

  • プログラマー:39.4万円
  • シニアエンジニア:48.3万円
  • ブリッジSE:59万円
  • PM:70万円

例えば、100人月の開発なら3,700万円かかります。しかし、これに手戻りによる追加コストが加わるのが実態です。

国内フリーランスの現状

フリーランスエンジニアの構造的課題

フリーランスエンジニアの平均的な月単価は60-80万円で、月額100万円は上位層です。月額100万円を超えるのは上位1%程度という調査結果があります。

品質問題の実在

フリーランスの問題点として:

  • 設計能力の欠如:「設計書が書けない」は業界の共通認識
  • エンジニアリング理解不足:上流工程の経験が乏しい
  • 「動けばいい」という意識:ドキュメント整備の軽視

これらはオフショア開発と同じ構造的問題です。多くのフリーランスは独学であることが多く、チームによる開発は経験しておらず、そのために受注した案件が納品できないケースも見受けられます。

AI拡張型開発という新しいアプローチ

AI拡張型開発の特徴

AI拡張型開発の特徴は「設計書をAIとみっちりペア開発すること」です。

  • 人間では難しい細かいところまでの整合性もAIは可能
  • 細かいレベルまで設計書を作成すると、AIは一気に実装
  • 実装するのは本体だけでなく、単体テストやE2Eテストも含む
  • CI/CDも含む
  • 設計書等はmarkdownであることがマスト

なぜAI拡張型開発は「人を選ぶ」のか

調査によると、AI拡張型開発には以下のような課題があります:

「70%問題」 経験豊富な開発者がAIツール(CursorやCopilot)を使うと魔法のように見えます。彼らは数分で機能全体を構築できます。しかし、よく観察すると重要なことに気づきます:彼らは単にAIの提案を受け入れているのではなく、常に生成されたコードをリファクタリングし、より小さく焦点を絞ったモジュールに整形しています。

つまり、彼らは長年培ったエンジニアリングの知恵をAIの出力を形作り制約するために適用しています。AIは実装を加速していますが、彼らの専門知識がコードを保守可能にしているのです。

Claude Codeの特性

Claude Codeを使っていると、その挙動は「優秀な新人社員」のようです:

  • 知識は豊富で仕事は無茶苦茶速い
  • 近視眼的な傾向が強く、よく暴走する
  • 10分くらいAIが試行錯誤して解決できない問題を、1行指摘するだけで直ったことは何度もある

AI拡張型開発に必要な要素

成功するためには以下が必要です:

  • 深いエンジニアリング知識
  • システム全体を俯瞰する能力
  • 品質基準を持っている経験
  • ビジネス要件を理解する能力

特に以下のような経験との親和性が高いことが分かっています:

  • システム開発会社経営(要件定義から実装、保守まで全工程の理解)
  • 大企業からの受注とマネジメント経験
  • 国際チーム運営経験
  • コンサルティング能力(本当に必要なシステムの見極め、ROI最適化)

まとめ

オフショア開発は「日本語がわからない」「エンジニアリングを知らない」「仕事が雑」という構造的な問題を抱えています。一方、国内フリーランスも独学による限界があり、月額100万円が上限という現実があります。

AI拡張型開発は、これらの問題を解決する可能性を持っていますが、誰でもできるわけではありません。AIを「優秀な新人」として適切に指導し、その出力を正しい方向に導ける経験と知識が必要です。

現在、多くの人がこの手法を理解していないため、AI拡張型開発を実践できるエンジニアは大きな競争優位性を持ちます。しかし、この手法は単にAIツールを使えばよいというものではありません。深いエンジニアリング経験と数多くのマネジメント成功体験を持つ者だけが、AIの能力を最大限に引き出し、高品質なシステムを短期間で開発できるのです。