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業界洞察

なんだ、この会社? - SHIFTを調べていたら見えてきたCSKとの奇妙な共通点【後編】

なんだ、この会社? - SHIFTを調べていたら見えてきたCSKとの奇妙な共通点【後編】のイメージ

よくある質問 (FAQ)

SHIFTとCSKに共通するビジネスモデルは何ですか?

両社とも労働集約的なビジネスモデルです。CSKは汎用機への技術者派遣、SHIFTはテスト要員の大量投入という人海戦術に固執しています。

ニアショア開発とはどのような開発手法ですか?

沖縄などの地方で展開された開発手法で、物価の安さを理由にテストセンターが設置され、単純作業に従事する人材が大量生産されました。CSK自身も1998年に沖縄に子会社を設立してこのビジネスを展開していました。

ソフトウェアテストの将来についてどのような予測がされていますか?

調査会社の米IDCは、生成AIを利用したツールが2028年までにソフトウェアテストの70%を担うようになると予測しています。

SHIFTのAI活用の実績はどのようなものですか?

公式サイトによると、全社で825の業務プロセスをAI化し、月間1,500万円のコスト削減効果を実現していると発表しています。ただし、これは周辺業務のAI化であり、テスト工程そのものはAI化していないと記事では指摘しています。

SHIFTの丹下大社長はどのような企業を目指すと語っていますか?

「ITのフォックスコン目指す」と語っており、年2000人以上を採用すると述べています。フォックスコンはiPhoneを組み立てる巨大工場です。

CSKが技術トレンドを読み違えたとはどういうことですか?

CSKはPrologを破壊的技術だと信じていましたが、本当の破壊的技術はダウンサイジングでした。汎用機からクライアントサーバーへ、そしてJavaの時代への移行により、COBOLエンジニアの大量派遣ビジネスは崩壊しました。

イノベーションのジレンマとは記事でどのように説明されていますか?

既存の収益モデルを自ら破壊することができない状態を指します。CSKは汎用機の継続を前提に効率化を追求し、SHIFTは人海戦術テストの継続を前提に周辺業務のAI化を追求しているが、両社とも自社の主力ビジネスモデルが破壊されることを前提とした変革ができていないと指摘されています。

なんだ、この会社?〜SHIFTを調べていたら見えてきたCSKとの奇妙な共通点〜

二つの会社の奇妙な共通点

改めて考えると、SHIFTとCSKには奇妙な共通点がある。

人海戦術への固執

CSKは汎用機への技術者派遣、SHIFTはテスト要員の大量投入。 どちらも労働集約的なビジネスモデルだ。

かつて沖縄などの地方で展開されたニアショア開発を思い出す。 物価の安さを理由にテストセンターが設置され、単純作業に従事する人材が大量生産された。 「単体テスト経験5年」といった経歴の人材。 スキルは身につかず、転職市場でも評価されない。 CSK自身も1998年に沖縄に子会社を設立し、まさにこのニアショアビジネスを展開していた。

SHIFTのモデルも本質的には同じではないだろうか?「誰でもできる」仕事に従事させ、スキルが身につかない。 人の使い捨てを前提としたビジネスモデルのように、私には見える。

技術トレンドの読み違え

皮肉なことに、Prologは当時「AI言語」と呼ばれていた。 大川会長はこれこそが破壊的技術だと信じていたのだろう。 しかし、本当の破壊的技術はダウンサイジングだった。 汎用機からクライアントサーバーへ、そしてJavaの時代へ。 COBOLエンジニアの大量派遣ビジネスは崩壊した。

今、SHIFTも同じ岐路に立っているのではないか。

「調査会社の米IDCは、生成AIを利用したツールが2028年までにソフトウェアテストの70%を担うようになると予測」している。

私自身の経験から言えば、テスト工程のAIエージェント化は必ず成功すると思う。 PyTestなどの既存フレームワークとAIエージェントの組み合わせで、人海戦術は確実に不要になるのではないか。

イノベーションのジレンマ

興味深いことに、SHIFTの公式サイトには「AI活用による生産性向上」が謳われている。

「全社で825の業務プロセスをAI化し、月間1,500万円のコスト削減効果」とある。

ちょっ、待てよ。 13,000人のテスト要員をAI化したら、月間数十億円のコスト削減になるはずだ。 なぜ月1,500万円なのか?

答えは明白ではないだろうか。 彼らはテスト工程そのものをAI化していない。 周辺業務だけをAI化しているように見える。

  • CSKは汎用機の継続を前提に、効率化(Prolog)を追求した。
  • SHIFTは人海戦術テストの継続を前提に、周辺業務のAI化を追求している。

両社とも、自社の主力ビジネスモデルが破壊されることを前提とした変革ができていないのではないか。

これこそが「イノベーションのジレンマ」ではないだろうか。 既存の収益モデルを自ら破壊することができない。

「ITのフォックスコン」という表現

SHIFTの丹下大社長は「『ITのフォックスコン目指す』年2000人以上を採用」と語っている。

フォックスコン。 iPhoneを組み立てる巨大工場。 確かに分かりやすい例えだ。 しかし、日本では米国や中国のような大量解雇はできない。

CSKの大川会長もSHIFTの丹下社長も、強烈な個性とカリスマ性を持つ経営者だ。 しかし、共通しているように見えるのは、技術変化の本質を見誤っていることだ。

歴史は繰り返すのか

CSKは人材派遣から受託開発への転換を図ろうとしたが失敗した。 技術の本質を理解しないワンマン経営が、最終的に組織を崩壊させた。 これは歴史的事実だ。

SHIFTも同じ道を辿るのだろうか?

違いがあるとすれば、CSKの時代の「AI」はPrologという幻想だった。 しかし今、本物のAIエージェントがテスト工程という、まさにSHIFTの主力事業を直撃しようとしている。

  • 13,000人の従業員を抱え、その多くがテスト業務に従事している企業。
  • 公式発表の離職率と実際の採用人数の不一致。
  • 「誰でもできる」を売りにしながら、実はスキルが身につかない仕事。
  • そしてAIによる自動化の波。

なんだか、CSKの歴史を早回しで見ているような気がする。

CSKは技術トレンドを読み違えた。 汎用機がなくなると思わなかった。 いや、正確にはPrologという「AI」で効率化できると信じていた。 しかし本当の破壊的技術はダウンサイジングだった。

SHIFTも同じことをしているのではないかと、私は感じてしまう。 テスト工程が人間の仕事であり続けると思っているように見える。

歴史は繰り返す。 しかし今回は、本物のAIという新たな要素が加わっている。 その破壊力は、かつてのどんな技術革新よりも強力かもしれない。

まあ、これは場末のエンジニアの独り言だ。 きっと東証プライム上場企業には、学歴や肩書を持つ優秀な人たちがいて、私の見立てなど杞憂に終わるのだろう。 彼らはきっと、この会社をさらに発展させるに違いない。